Webディレクター

「ゲーム理論トレーニング」から考えるWebディレクターの交渉術

交渉力を高めたいWebディレクター「交渉力ってどうやれば鍛えられるんだろう?上手くクライアントと交渉していくには、どんな事を気をつければいいのかな?」

Webディレクターをしていると交渉の機会って多いと感じませんか?

今回は、この交渉力で活かせる手法についてご紹介していきます。

ベースとなっているのは「ゲーム理論トレーニング」という本でして、この本に書かれている事をWebディレクターさんの業務内容に合わせて解説していきます。

この記事を読むと、以下のことが分かるようになります。

この記事でわかること

  • Webディレクターが持つべき交渉の観点
  • 交渉相手のITリテラシーの重要な見極めの重要性
  • 交渉相手の立場に立って「先読み」ができるようになるポイント

僕自身もよく交渉の場面は多く経験してきていまして、ある程度のパターンのようなものがあると認識できてきました。

今回は、Webディレクターさんにとって、比較的「あるある」な交渉のパターンをご紹介していきます。

Webディレクターさんの業務上、見積もりの段階から、追加見積もり、機能やクオリティなどのコミュニケーションの際に役立ちますので、ぜひ参考にしてみて下さい。

それでは早速みていきましょう!

Webディレクターが持つべき交渉の3つの観点

まずは、Webディレクターが交渉の際に持つべき観点についてお伝えしていきましょう。

とは言いながら、ご紹介するのは、ごくごく当たり前の観点ですけどね。

その観点というのは、以下の通りです。

Webディレクターが持つべき交渉の3つの観点

  • 品質(Q:Quality クオリティー)
  • お金(C:Cost コスト)
  • 納期※スケジュール(D:Delivery デリバリー)

QCDという言葉を聞いたことはありませんか?

多分、製造メーカーでお仕事をされていらっしゃる方などは、よくこ存じだと思います。

ですが、Webディレクターさんも上記のような観点で普段からお仕事をされていますよね。

交渉の時のポイント、あるいは、受注前の提案段階の時から、この「品質、お金、納期」の話し合いというのはしてきていると思います。

このバランスというのを意識すると良いですね。

どんなクライアントでも、基本的には「良いものを安く早く」を手に入れたいと考えているはずです。

※そうなんですよね、無茶なこと言ってきたりするんですよね、ITリテラシーが低かったりする人ほど(この点も後述します)。

あるいは、この3つの視点で、優先順位をクライアントとしっかりと決めておくことも重要せすね。

「一番優先順位が高いのは、クオリティですか?予算ですか?それとも納期ですか?」と。

こう聞き出すことで、今後の交渉や調整をする際のコミュニケーションのベースラインが出来上がりますので、意識してみて下さい。

Webディレクターの交渉相手のITリテラシー

相手のITリテラシーやWebリテラシーによっても、交渉の難易度って変わってきますね。

僕個人としては、リテラシーの高い方と低い方とでは、考えるべきリスクが異なると考えて言います。

交渉相手のITリテラシーが高い時

相手のリテラシーが高い場合は、クオリティやスケジュール面での進め方に関してより考慮して業務を進めるべきですね。

なぜなら、相手もそれなりに「こういうものを作るには、こういうことをしなければいけない」というのをある程度のイメージや理解をしている場合が多いからです。

例えば、「〇〇の比較サイトを作る」となった場合、

  • 比較が見みやすいようなデザイン考慮
  • 問い合わせや注文のしやすさ
  • 商品の探しやすさ
  • SEOの対策
  • 管理画面の設計

などのやるべき事というのはお互いに話し合いの中で認識し合えます。

相手がこの辺りの必要性を判断したり理解できると、交渉時のトピックスは以下のような点になりますね。

交渉時のトピックスの例

  • 納品やリリースをするタイミング(デリバリー)
  • どこまでの作り込みを初期段階で行うか(クオリティ)

交渉相手のITリテラシーが高いと判断する場合は、ぜひこの点について留意しておいて下さいね。

交渉相手のITリテラシーが低い時

交渉相手のITリテラシーが低いときは、かなり大変ですね。

何が大変かというと、受注した後の対応が大変になってきます。

理由は、以下のような前提(マインド)で発注をしているからです。

ITリテラシーの低い担当者のマインド

  • 自分はWebやITのことが全くわからない
  • わからないから、業者さんはわかりやすく説明するべき
  • わからないものに予算はかけたくないから追加予算は考えない
  • 品質や納期を守れるのは当たり前
  • 出来ていなければそれは業者側が全ての責任がある

ね、

厄介でしょ?w

なので相手のITリテラシーがどの程度あるかという見極めははじめのうちにある程度しておくべきですね。(中には、「俺は実は詳しいんだぜ?」という怪しい人もいます。)

こういう時は基本的にはコスト面を軸に会話をした方が良いです。

「〇〇をするにはどれくらいの作業量が発生するから△△くらいコストをかけないと対応は出来ない(それ以下のコストだと品質もスケジュールも保証はしない、など)」。

このように会話をしたり、やりとりをメールなどで残しておく事も大切なことです。

ちなみに僕は、ITリテラシーの低いクライアントの場合はコストやスケジュールのバッファ(余裕)を多めに見積もったりも良くします。

ぼったくるのではなく、追加の要望や、想定外のことにも対応できるように、ある程度のバッファを見込んで予算を組んだり、スケジュールを組んだりもしますね。

そして、この事を事前にクライアントにも伝えておいて、予算を取ってもらうようにしています。

こういうのも、お互いのリスクヘッジの為のテクニックだったりもしますので、参考にしてみて下さい。

Webディレクターの交渉に参考になる「ゲーム理論トレーニング」

さて、少し長くなりましたが、ここからWebディレクターの交渉力を高めるポイントに関してまとめていきます。

ここで取り上げるのが、「ゲーム理論トレーニング」という本ですね。

ここに書かれている内容が、とても役立ちますね。

後半は少し内容が難しくなってきますが、今回取り上げるWebディレクターの交渉については前半部分だけでもかなり参考になる考え方がまとめられていますね。

そのほかにも、交渉術に関する本は以下の記事でも紹介しています。

ゲーム理論を身につけるおすすめ本5選【ビジネスの必須科目です】ゲーム理論のおすすめの本が知りたいですか?この記事では、ゲーム理論を学ぶのにおすすめの本をご紹介しています。コミュニケーションや交渉、相手の目的やニーズを読むのに必須の科目ですので、ぜひ参考にしてみてください。...

ぜひこちらもチェックしてみてください。

関連記事:ゲーム理論を身につけるおすすめ本5選【ビジネスの必須科目です】

「ゲーム理論トレーニング」で交渉に強くなる「先読み」

まず、交渉する相手の立場がどのような人なのかを整理しておきましょう。

交渉する相手のパターン

  • 経営者やビジネスオーナー
  • クライアント企業の担当者/担当部長

重要なのは、

相手の立場に立って先読みをする

という事です。

これに付きます!

ここでは、経営者や担当者のそれぞれのパターンで解説していきますね。

交渉相手が経営者やビジネスオーナーの場合

交渉する相手が経営者やビジネスオーナーの場合、以下のような事をミッションとして行動しています。

ビジネスオーナーが意識していること

  • 事業と収益性の向上
  • サービスとしてユーザーニーズを満たすこと
  • より良いサービスとして完成度を高めていく事
  • チームとしてより良いものを追求していく姿勢

一言で言うと、経営者やビジネスオーナーの場合は事業成長が一番の目的です。

このような事を常に意識していらっしゃるので、求める質というのをどんどん高いものを要求してきますね。

逆にいうと、それに対する必要なコストややるべき事というのが理解されれば、柔軟に受け入れてくれる度量も持っている人も多いです。

チームワークも大事にしている為、Webディレクターに対する配慮というのをしてくださる人もいらっしゃいますね。

その分、「期待に応えないと!」というプレッシャーにもなったりしますがw

交渉相手がクライアント企業の担当者の場合

一方で、交渉相手がクライアント企業の担当者だった場合のニーズは、以下のようなパターンが多いです。

担当者が意識していること

  • 自分の責任として外注先から安く良いものを提供してもらう
  • 求めている内容を正確に理解して納品してほしい
  • 難しいことは(上を説得するために)分かりやすく解説してほしい
  • ビジネスとしての本質よりも自分の業務量や業務負担を優先する

一担当者の場合、どうしても視野が狭いと言うか、自分の仕事の範囲でしかものごと見ていない人が大半だと思います。

本人はそのつもりは無いと思っていても、そうであることが多いですね。

交渉相手のそれぞれの立場を想定した先読み

交渉の際は、これらのような相手の立場とミッションやニーズというのを整理して、会話をしたりコミュニケーションを取っていくべきです。

また、相手のチームなどの相関図などを描いてみて、それぞれがどのようなニーズや目的を持ってプロジェクトを進めているかなどを捉えておくのも大切な事ですね。

このようにしておくと、

「これは担当者には言うべきこと」

とか、

「これはビジネスオーナーには伝えるべきでは無い」

という交渉の「カード」が切れるようになります。

このような準備をして、相手の行動や思考を先読みを日頃からイメージしておくことは、交渉力を高める日頃のトレーニングとしても効果的です。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

ここまでをまとめると以下のようになります。

  • 交渉での基本的な観点はQCDをまずは身につける
  • 相手のITリテラシーに応じてリスクを想定しておく
  • 相手の立場を整理して先読みする習慣を身につける

ただ、いくら交渉力を身につけたとしても、本質的なWebディレクターとしてのスキルを身につけていなければ相手への説得力というのも弱いままです。

基本的なスキルを身につけることに関しては、Webディレクターとしてスキルアップする学習方法【1年は修行】という記事で詳しくご紹介していますので、ぜひこちらを参考にしてみて下さい。

また、相手が経営者やビジネスオーナーの場合は、ビジネス全体の知識というのは不可欠になっていきます。

そちらに関しても知識のインプットというのは欠かせません。

そちらに関してはWebディレクター必須科目!ビジネス理解力を補う中小企業診断士という記事でビジネス知識のインプットの方法をまとめているので、よければ取り入れてみて下さい。

それでは、今回はこの辺で。

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