
先日、昔お世話になった人から、お子さんの就職に関しての相談を受けました。
大学もこの春に卒業して、まだつぎの進路が決まっていない状況だというのです。
親としては心配ですよね。
今は人手不足の時代でもあるので、売り手市場でもあると思いますが、それでも決まらないというのは本人の意思やモチベーションがあまり就職に向いていないのかもしれませんね。
恐らく、就職をゴールにした場合は結果は何かしら作れると思いますが、それは本人が今後の人生を熟慮して導き出した結論であるとは言いがたいというのも、世の中には多く存在するのだと思っています。
その導き出した結論に意味的価値があるかどうか。
今回は意味的価値から考える社会変化について考えていきたいと思います。
もくじ
経済的価値と意味的価値
少し前提の整理をしておきますと、就職などで務める先を選ぶ基準に、経済的価値と意味的価値があります。
経済的価値とは
経済的報酬とは、いわゆるお金のことですね。
働いていくら給料がもらえるのか。
キャリアに応じてどの程度の割合で給料が増えていくのかなどの価値基準です。
意味的価値とは
意味的価値とは、それをする意味付け、動機付けのことです。
以前、人手不足と感じる企業の割合をご紹介したかと思います。
人手不足を解消する為に、たくさんの報酬を払って人手を確保する方法。
これが経済的価値による人手不足の解消方法ですね。
一方、社長やリーダーに共感して一緒に働きたいとか、その会社のやろうとしていることのストーリーに共感したりとか。
この辺りを武器にして人手不足を解消する鍵が意味的価値です。
意味的価値を求めていく時代へ
確かにお金というものは生活の中には必要なものです。
特に食べることや生活の基盤を守っていくための資金として、お金がないとリスクになると言えるでしょう。
ですが、そのお金への価値基準というものも、今の時代、変化しつつあるのではないでしょうか。
マズローの5段階欲求
マズローの5段階欲求というのをご存知のですか?
以前も少しご紹介したかも知れませんね。
改めて書いておくと以下のような欲求が人間には段階的に存在しているというものです。
- 第1の欲求:生理的欲求
- 第2の欲求:安全欲求
- 第3の欲求:社会的欲求
- 第4の欲求:承認欲求
- 第5の欲求:自己実現欲求
恐らくこれまで世の中のビジネスや経済というのは、生理的欲求と安全欲求を満たすためのビジネスが中心だったのではないでしょうか。
生理的欲求と安全欲求が満たされてきた時代
これまでのビジネスや社会経済というのが生理的欲求と安全欲求を中心とした活動がほとんどだったと先程書かせていただきました。
例えば、小売の大手やゼネコン、ハウスメーカーが衣食住の部分をビジネス展開してきて、規模の経済を獲得してきているというのはイメージがしやすいと思います。
その中で、より便利なものや可処分時間を生み出せる商品やサービスの提供が浸透してきたのだと思います。
社会的欲求と承認欲求を求める時代へ突入した
これまでも社会的欲求というのは人々の意識の中に存在していたものだと思います。
人と同じでいたい、人と比べてしまってその人達よりもよりよくいたい、というのは1つの社会的欲求かもしれません。
そのよう意味においては、テレビというメディアが拡声器として1つの統一された価値基準をコンテンツとして提供して、ある程度画一化されて価値観を生み出していた部分もあるかも知れませんね。
そして右にならえで、世の中ではやっているものを欲しがったり、世の中で一歩抜きに出たであろう象徴的な商品などへの購買意欲を掻き立てるような社会が、2000年代まで1つの価値観として存在していたのではないでしょうか。
グローバル化とインターネット
インターネットの普及とグローバル化によって、この辺りは「多様化」してきました。
何が多様化したかというと、コミュニティと価値観ですね。
所属しているコミュニティによる価値観が多様化したことによって、これまで良いとされていたことへの価値がどんどん分散されてきているのだと思います。
そしてこれまで画一的であった承認を求める方向性も人それぞれ多様化してきたのだと考えています。
AKB48のようなファンの皆さんとアイドルの皆さんとのコミュニティなども、その一例でしょう。
また、ラインなどのSNSから生じるコミュニティといったことも、様々な承認欲求を発生させている変化だと考えています。
これらの多様化した社会において、どこの承認欲求に刺していくか。
この辺りも新しいマーケティングの領域になっているのでしょうね。
女性が以前よりも活躍しやすい時代になる
様々な価値基準の中で人々は経済的にも意味的にも動いていく時代です。
そうすると、僕なんかは以前にも増して女性が活躍しやすい社会がやってきているのではないかなと感じています。
今までの男性が築いてきた社会に女性が適応していくのではなくて、女性自身が自分たちの住みやすいコミュニティや社会の仕組みを作っていけるような価値観へと変わりつつあるのではないでしょうか?
余談ですが、地方の議員さんなどはもっと女性が増えてもいい気がしてるんですけどね。
生活に密着していない男性よりも女性の方が地方の政治に対して良い政策とか作りそうな気もしているのですが…。
意味的価値はマルチ個性的能力と社会性的能力のバランス
このような時代の変化の中で、社会全体で求められることというのは徐々に薄れていくのだと感じてます。
それよりも、各々の価値観を持つコミュニティの中で、そのコミュニティが求めるものを提供できるというのがその人の個性となってゆくのではないかと考えています。
つまり、コミュニティごとで発揮できる個性をコミュニティ単位で持つということでしょうね。
ただ、1つの個性だけではリスクがあります。複数のコミュニティで複数の個性を持つ。
そして、所属するコミュニティを行き来するということが求められるのであろうと僕は結論づけています。
そのような意味では、社会性を発揮しつつ様々なコミュニティと上手くやっていくという能力も求められるでしょうね。
このような事を、実践できるか否かが、これからの若い人たちから僕らくらいの世代の人たちまで、しばらく課題としてついまとうような予感がしています。
恐らく、逃げ切れないでしょうね。
今日はこの辺りで。