個人の時代について、組織で働いている僕個人も様々なジレンマを抱えてきていて、何とかそこから脱却したいと日々悩んでいます。
今の時点で、僕自身が出している結論としては、
- 組織にいては新しい専門性は磨きにくい
- 新しい能力を身につける事を優先する
- 組織よりも個人を優先する
という風に考えています。
もしかしたら組織と個人とを両立することもできるかもしれませんが、一旦の個人的な結論としてまとめておきたいと思います。
もくじ
現在の日本企業が抱える人手不足
財務局の調査によると、人手不足と感じると答えている企業は全体の63.2%におよぶようですね。
- 大手企業が人手不足と感じる割合は56.5%。
- 中堅企業が人手不足と感じる割合は66.3%。
- 中小企業が人手不足と感じる割合は74.3%。
こちらの資料に詳細なデータがご覧になれます。
中小企業での人手不足がとても深刻な状態ですね。
AIが仕事を奪うかもしれないと言われてはいますが、実態としてはまだまだ中小企業におりてくる仕事をこなしきれるという状態ではないです。
人手不足であるということは、仕事がある状態なのでとても良いことのように見られます。
その分人の雇用もうめるということですが、一過性の人手不足であった場合、一度確保した人材が抱え続けられるかといった課題も常について回りますね。
大企業と中小企業の人材の質的な側面
大手企業が中小企業に対して専門的な仕事を発注するという構図は依然変わらない構造であると思います。
その構造の中で、大手企業と中小企業の人材の活用に置いてどう違ってきているのでしょうか。
大手企業のゼネラリスト
大手の企業の場合、ゼネラリストと言われるオールラウンダー的な人材が多くいますよね。
管理職と呼ばれる人たちもそうですが、一つ営業部門の方々もゼネラリストに含まれてくると思っています。
そして、そのゼネラリストをたくさん養成できるような組織の仕組みになっているのではないでしょうか。
3年で異動したり、昇格試験があったりして、ゼネラリストの能力を高めていく職能の体系を敷いています。
2:6:2の法則
大手の場合は人材の能力の高い・低いの割合も、2:6:2に分けられます。
いわゆる、
- 優秀な人2割
- 普通の人6割
- 優秀じゃない人2割
ってやつですね。
それぞれの割合に応じた仕事があるでしょうから、何かしら企業としての機能は維持される状態であるのだと思います。
中小企業の場合
中小企業の場合は、大手企業のような人材の質にはならないでしょうね。
何故ならば、中小企業の場合、優秀な人というのは経営者もしくはその周りにいるごく一部の人たちだけであることがほとんどだからです。
そして、その他の人たちは、何かしらの専門的な技能を持った人たちで、ゼネラリストと言われるような能力ではなく、スペシャリストとしてその専門性を活かす為に働いている人がほとんどではないかと考えています。
ただし、マルチに業務をこなすことも時代の変化とともに求められてきています。
中小企業人材のマルチスキル化が課題
中小企業も時代とともに活かせる専門性とそうでないものとが変化してきています。
例えば、小さな印刷会社があったとして、インターネットによって紙の需要なども変化してきていたりしますよね。
そのような時代の流れの中で、どう経営を成り立たせていくのか。
この課題に対して取り組むのは経営者の仕事かもしれませんが、意思決定の方向性によってはそのあと求められてくる社員の技能や知識というものも変わってきますよね。
そこで働く社員の人たちの 、これまでの専門性というものが大きくシフトするタイミングもあるのではないかと思います。
よく聞くのは、それまでの専門性から発展した新しい専門性ですよね。
カメラレンズを磨く仕事の技術を活かして、別のものを磨く仕事にシフトしていったりなど。
ただ、みんながみんな、それをしたいと思わなかったり、違う道を模索したりするということもよくあることだと思います。
中小企業の人材の確保と定着
新しいことに経営として乗り出さなくてはいけない。
そして、その事に対する人のモチベーションを高めなくてはいけない。
経営として難しい局面ではあると思います。
ここが経営の舵の切り方になってくるでしょうね。
つまり
- 新しい人材の確保ができるか
もしくは、
- これまで一緒にやってきた社員の意識と能力を新しい分野へ発展させられるか
という部分になってくるでしょう。
後者を選択した場合、社員の意志にも関係してきます。
- これまでの技術を活かせる会社へ転職する
- 新しい分野の能力を身につける
という社員も選択を迫られる状態になります。
果たして、これから迎える個人の時代に、様々な選択肢をもつ社員というのもきっと多いのではないでしょうか?
人材不足の環境下では新しい専門性が磨きにくい
経営側が新しい方向へ舵を切った場合、そこにいる社員の方々も新しい方向に向けて能力を伸ばしていかなければいけません。
とはいえ、主軸となる経営の事業も継続しながらの取り組みとなる事でしょう。
何故ならば、経営としては、売上や利益を確保しながらも新しい分野に乗り出さなければいけないからです。
これをやりきれるかどうか。
売上を作りやすいのは既存の事業の方が作りやすいという状況はしばらくは続くでしょう。
また、それでも中小企業の場合は人手が足りません。
となると、いつまでも新しい専門性は身につかないというジレンマを抱える事になります。
会社としてこれらをマネジメントしていくのがまた困難な道のりではないかと僕自身は考えています。
だからこそ、就業時間内で新しい事に取り組む時間を30%割いてやるというGoogleのやり方というのも一つの手段として有名になったのかもしれません。
また、副業なども解禁していって、個人の時代に合わせた個人の専門性を磨く取り組みというのを推奨してきているのではないかと僕は考えています。
個人の時代で組織で働くというジレンマ
個人の時代では、組織にずっと勤めながら自分自身を成長させるという事がもはややりにくくなってきていますね。
それはおそらく働いている従業員の方々が一番感じている部分かもしれません。
特に、組織の規模が小さければ小さいほど、新しい事に取り組むという事を組織側がしにくくしてしまっていることというのが多くあるのではないでしょうか。
大手企業に勤めている人は、まだそこまで感じていないかもしれません。
ですが、やがてそうなるときも近づいてきています。
何かにチャレンジしたいと感じている人ほど、今の状態から少しでもいい方向へと向かいたいという成長意欲が高いと思います。
が、なかなかそれが出来ないという環境が、個の成長を阻害している要因でもあるのでしょう。
個人として優先順位と指針をはっきりと持つ
個人の時代での生存戦略で重要となるファクターとしては、やはり組織に対する優先順位よりも個人の将来やモチベーションを優先する事でしょう。
組織もどのような方針を今後掲げるかは未知数ですし、そこに向かって個人として貢献できるかということもまた未知数です。
そのような時代になった時に、何を優先するべきかをはっきりと持っておくことがまずは大事になってくると思います。
これまでは組織の為という優先順位から、これからは自分自身の為という順位へと転換できなければ、個人の時代に置いて、個性を磨くという事ができにくくなってくるのではないでしょうか。